銀色の大空に

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軽妙にして深さこの上ない一冊
戸板 康二の歌舞伎 ちょっといい話

歳月の重み

「ちょっといい話」のシリーズで数多くの読者を持つ戸板康二が、晩年の10年間、歌舞伎座の筋書(プログラム)に連載したコラムの集大成が本書である。

 昨今、歌舞伎や寄席に若い人が増えた。決して悪いことではない。それが一時のブームに終わらないことを希う。
 古典芸能の楽しみというのは、数十年のスパンで藝が師弟あるいは親子の間で伝承していくことを見守り、現在の舞台に、数十年前の名人の面影を再見することである。
 長い歳月、歌舞伎を愛し続けた戸板氏の文章で、私はあらためてそのことを思い知った。

 軽妙にして深さこの上ない一冊である。私は1日でこの本をむさぼり読んだ。そして、これからの人生でもたびたび、頁を繰りたいと思う。

歌舞伎 ちょっといい話

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| 読書 | 23:10 | - | - |
ありのままの姿

お姉様と慕いたくなる本。

本屋さんでばったりとあった本。『私から愛したい』と言う言葉に情熱と優しさを感じた私は
すぐに買って読みました。大好きな西原理恵子さんとお友達と言う所にも惹かれました。
読みすすめるたびにやはりこの方は、心根の優しい深いかただなぁと言う印象を持ちました。

特に恋愛小説を書いている彼女の凄みのある一説があるのですが
『ここ数年の私の男性諸君へのお願いはただ一つ「一生ダマして。気付かせないで」』は

お姉様と、慕いたくなるほどかっこよいなぁと思いました。
きっぱり言い切る所にますます惹かれました。

男性社会・会社でばりばりと働いてきたキャリアウーマンの過去を持つ彼女だからこそ
男性と本当の意味で対等で、卑屈にもならず媚を売るわけでもなく
素直に男性に優しい言葉を発信出来るのだろうなぁとも思いました。

『愛されたい』と願いがちな私にとって『(こちらから)愛したい』と言える女性に
私もなりたいと憧れずにはいられない方でした。オススメのエッセイです!!

ありのままの姿

著者、藤堂さんのありのままの姿が描かれたエッセイ。文筆業って、こんなんなんだ、とか、本当に読書が好きな方なんだな、とか、こんな本を読んでいるのか、とか、著者に対する素朴な疑問が解決されたと思う。軽く読める本なので、リラックスタイムに良いかも。


賛成♪

”私から愛したい”という題を見ると、すごく積極的なイケイケな女性を想像するかもしれない。
けれど、エッセイの中から浮かんでくる女性像は、ちょっと違った。
私的には、かなり親しみのわく、ちょっとドジなところもあり、限りなく面倒くさがりな、気取らない女性だった。
それ。わかる〜。などと思いながらあっと言う間に楽しく読んだ。
私もこんな風に、”自分のペース”をしっかりと持った女性になりたい。

私から愛したい。

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| 読書 | 17:34 | - | - |
明るくほのぼな太宰も良い
太宰らしからぬ太宰
固い・暗い・重い。
とかく陰鬱なイメージの先行する太宰治が生活の安定していた時期に書いた軽妙洒脱なホームドラマ。
尊大で堅物な長兄、奉仕精神にあふれた長女、驚くほどの美青年だが病弱で皮肉屋な次男、ナルシストな次女、熊の子のように愛くるしい末っ子。
個性的な五兄弟が連作で合作しひとつの物語を織り成していく。
五人兄弟のキャラがそれぞれ立ってて面白い。こんな話も書けるんじゃん太宰治。
この作品最大の美点はなんといってもそのユーモラスな持ち味、明るい作風。
退屈しのぎに即興で物語を披露するのが趣味の兄弟たちだが、長兄の話はなにかと教訓めいて説教臭く、次女の話はロマンチックで次男の話はやたらひねくれてるといったぐあいに、語り口や筋運びにはそれぞれの個性が如実に出ている。
五兄弟の性格や好み、思想が強く反映された物語はともすれば脱線し迷走し、他の兄弟への愚痴やイヤミをも内包するのだが確執じみた陰湿さは微塵もない。
冒頭の人物紹介における、兄弟それぞれの特徴を端的かつ巧みに描写するくだりから引き込まれる。
とくに好きなのは自前のコインの勲章を一週間でもっとも手柄を立てた者に贈る祖父のエピソード。
末っ子の催眠術にわざと騙されたふりをしてやる祖母や次男と母の枕元での会話などほのぼのとした家庭の様子が伝わってくる。
惜しむらくはもっと読みたかったこと。こんなにキャラ立ってて楽しいのにたった二編なんてもったいない!一家の話だけ一冊にまとめてほしい!
太宰?なんか暗そう?と敬遠してる人は「ろまん燈篭」でがらっとイメージ変わります。というか私自身冒頭の先入観で太宰はちょっと苦手に思ってました(「人間失格」のよさもあんまわかんなかったし)
ちなみに「愛と美について」の作中作の方がお気に入りです。
「ろまん灯篭」のほうは魔女のおばあさんにも救いがあってほしかった……。

太宰治による福音
 表題作「ろまん燈籠」と「雪の夜の話」について書いてみよう。
 自分の分を知り、その分を守り、それぞれがそれぞれの義務・役割を果たして、力を合わせて生きていく。――彼が理想としたのは、平凡だけれど美しい、そんな生活だったのではないか。
 「ろまん燈籠」では兄妹たちがそれぞれの個性を生かし、連作・合作して一つの物語を作る。「雪の夜の話」には、難破した水夫の話が出てくる。医者が難破した水夫の目を顕微鏡で調べたところ、一家の団欒の光景がその網膜に残されていた。この事実を医者は知り合いの小説家に伝える。小説家がこれを解釈する。もし、水夫の目が損傷していたら、医者はその網膜から一家団欒の光景を見つけることは出来なかったし、医者が水夫の目を顕微鏡で調べたとしても、小説家が解釈しなければ、水夫の行為は明らかにされなかった。この小さな物語は、水夫と医者と小説家との三人で力を合わせて作った話として捉えることが出来るのである。
 「ろまん燈籠」の最後の方の場面で、兄妹の祖父が批評の言葉を述べる。主人公とヒロインとが幸福をつかんだのは、父母の隠れた愛があったればこそだが、ほとんど誰もそれに触れなかった、そこがなっとらん。だいたい、そんなことを言う。隠れているけれども、存在しているもの、隠れているからこそ、大切なもの、そういうものを探し出して、文学として定着させる、それが太宰にとって重要なテーマの一つとなっていたのである。
 隠れた愛、で連想するのは、善い行いをするときは、人に見られないよう心がけなさい、そうすれば、隠れたところにいます天の父なる神が、報いてくださるだろう、というイエスの教えである。太宰は隠れた愛の行為を文学として定着させながら、読者に福音が訪れることを祈っていたのではあるまいか。そんな気がする。ちなみに、太宰が『聖書』を福音として受容していた一面があるのでは、との指摘は渡部芳紀氏によりなされており、私はそれを応用したまでのことである。

明るくほのぼな太宰も良い
太宰治といえば、「人間失格」など、暗い話
ばかりのイメージが強いですが、実はかなり
幅広いです。

なのであえて、これをお勧めします。
この本は短編集なのですが、表題作「ろまん燈籠」
は五人兄弟が、それぞれ順々にロマンスな物語を
書き継いでいきます。
この書き分けは本当に凄い!
五人の個性にあった文章・・・圧巻です。
また、五人の家族、母親と祖父母もいい味を
出してます。

「令嬢アユ」もなかなかアダルトな逸話で笑えます。
太宰は本当に笑いも好きな作家だったと思います。
ろまん燈籠

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| 話題 | 17:38 | - | - |
色褪せない物
『智恵子抄』より面白い
高村光太郎=『智恵子抄』というイメージが一般的にはあるが、高村光太郎の本当の凄さは、むしろ『智恵子抄』以外の作品にあると思う。この詩集には、『智恵子抄』以外の名詩が、多数、収録されているので、興味のある方には、オススメです。ワイルドかつ、ポジティヴかつ、アナーキーかつ、センシティヴな世界は、日本人ばなれしていて、最高に面白いです。高村光太郎の本当の凄さが凝縮された、最高の名著です。

色褪せない物
難解だ。しかしナンセンスではない。解らない、解らないんだけど、今日も、辞書を片手に読んでしまうのであった。

色褪せない物
難解だ。しかしナンセンスではない。解らない、解らないんだけど、今日も、辞書を片手に読んでしまうのであった。
高村光太郎詩集

一粒の涙
いたいけな欲望
| 読書 | 23:23 | - | - |
たまにぴったりはまったり
読後感、最高!
この本は、中学生、高校生が身近な等身大として感じながら楽しんで読める作品であると同時に
20代以降の大人も青春時代を思い出しながら熱い気持ちになって読めるとてもよい作品であると思った。
また、陸上の専門的な内容がとてもリアルに描かれている。しかし、リアルであるはずなのに陸上の素人にもさらっと読めてしまう不思議な本。そこが年齢、性別を関係なく読まれているのだろうと思う。

自然な友情・努力・根性
友情・努力・根性が自然のこととして描かれ、ことさら強調されていないのが良かった。

また、最初はあまり目立たなかったが、後半に以外にも前面に出てきたヒロイン(?)谷口が良かった。
普段はおとなしいのに、ここぞというとき行動力
少し天然ボケでピントがずれているが、たまにぴったりはまったり
といった感じでキャラ立ちしていた

オールタイムベスト級の傑作だ。
おもしろかった。

熱くなれ!
4継。陸上といえば、個の勝負だと思っていた。自分の成績のために努力する。そうゆう世界だと思っていた。しかし、この小説を読み、違う世界もあることを知った。仲間のために、努力し、泣き、熱くなる。互いに刺激しあう関係。このやり取りがすばらしい表現力で、文書化されている。読んでいる私もメンバーの一員として一喜一憂した。つい走りたくなってしまう本である。

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
佐藤 多佳子

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| 読書 | 12:27 | - | - |
いい意味で期待を裏切られた。
面白かったです!
今までに読んだ角田さんの作品の中でも1番面白かった

実際に起こった事件を元にして創作したフィクションの短編が6編

自分自身、毎日届けられる新聞の事件を読んでは文中から色々想像する事はあったけれど、
この作品集ではそれを見事に1つの物語として完成させている。

直木賞受賞作品となった「対岸の彼女」より完成度が高いと思う。

質の高いサイコホラーをどうぞ
実際に起こった事件を基にした短編集。実話をモチーフにしたフィクションという点では桐野夏生の手法に近いのですが、リアリティを残しながらもドロドロとした深層心理を描くことで実話をホラーに昇華させています。このドロドロ感は桐野に勝るとも劣りません。
心の細かい皺を描き出す角田光代ならではの表現力が、少しずつ心を侵食していきます。
これからの季節、暑気払いにもってこいの一冊です。

愛を感じる犯罪
三面記事というと「保険金目当て」「誰でも良かった」
「なんとなくムカついた」「我慢できなかった」など、
動機は自分勝手なものが多い。
でも、角田さんの解釈から作られた物語には愛を感じた。
ニュースで淡々と報じられ、スポーツ紙やワイドショーで興味本位むき出しの
えげつない言葉が飛び交う犯罪すら愛のある話にしてしまうとはびっくり。
ドロドロした悪意や暗いものを想像しながら読み始めたので
いい意味で期待を裏切られた。

三面記事小説
角田 光代

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| 読書 | 21:35 | - | - |
心が温かくなりました

今更ですが読みました。瀬名と南のやり取りがとても暖かく、思わず微笑んでいました。北川さんの何気ない描写が深く心に響きました。自分が同じ事を感じていても、こんなに上手くは表現出来ないと思います。

神様がくれた休日
ドラマは最終回しかきちんと見ていないけど、おしゃれな雰囲気とか選曲もよくて好きでした。
それがキッカケで中学の頃に買ったんだけど、今も引っ張り出しては読んでます。
当時ピアノを習っていたこともあって、瀬名のピアノは練習したなあって、真二が話の中で弾いている英雄ポロネーズは今更ながらクラシックのCDを聞いてみたりして…
話のの中のなんでもないような一言が心に残ります。
ももちゃんのぼけっぷりで大笑いしてました。ドラマではどだったのかな?

うまくいかないときは・・・
この物語は人生で何か大きな壁にぶつかったりしているひとに安堵感を与えてくれるようでした。何をしてもうまくいかないときってきっと誰にでもあると思う。そんな時は神様がくれた休みだと思えばいい。こんな台詞がありました。僕はここが好きです。もしたちはだかる壁に道を遮られているなら一度この本を読んでみてはどうでしょう?

ロングバケーション
北川 悦吏子
ベネフィーク
| 読書 | 18:03 | - | - |
切り口の面白さは健在
良かったのは静香のキャラだけ。
小説としてのアイディアは買うのですが、とにかくお粗末すぎます。この手の分野に全く興味のない人なら楽しめるかもしれませんが、多少でも知識のある人なら全くお話にならないレベル。白けてしまって読み進むのが苦痛。小説なんだから多少どころかほとんど眉唾でも許容出来ますが、これはそういうレベルですらなく、子供だましもいいところです。
本来★1といったところですが、キャラクターは悪くなかったと思うし、静香の毒舌だけは小気味よかったので★2としました。

切り口の面白さは健在です
邪馬台国の次にこの本を読ませて戴きました。
過去多くの方たちが語ってきたテーマを
新たな切り口で展開していくのは面白かったです。
松永の健気さも健在です。

ただ、思い入れ過多なのかもしれませんが
それぞれの話の終りの宮田の締め方がちょっとしんどかったです。
「俺は?」から始まる締めです。
自分に酔ってる感が漂ってるように感じ
ちょっとしんどかったです。


だったら僕が考えてみよう。
 
 小さなバー、「スリーバレー」が舞台。
 アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像。
 ハリウッド女優にも引けを取らない美貌をもった歴史学者の早乙女静香の挑発的な語りかけと、雑誌ライターの宮田六郎のとぼけた返事で七不思議を解明していく短編集。
 「世界史は知らない」という宮田に対して、会話の形で静香が説明をするので七不思議について詳しくなくても楽しめます
 静香の接待客ジョゼフ・ハートマン教授から見た形でえがかれているので、いっしょにカウンターに座って会話を聞いている気分読み進むことが出来る本です。
 

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)
鯨 統一郎

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| 読書 | 21:01 | - | - |
こんな素敵な物語、小学生のときに読みたかった
科学少年だった自分を思い出させる小説
彼の作品は何冊か読んだが、これが一番面白かった。『S.O.U.P』も好みだけど、こういった作品もいい。夏のロケットもかなりいいな。

科学少年だった自分を思い出させる小説だ。子供のころは自分もNASAの職員になりたかった。よくわかるな。もしかしたら自分と同世代の作家なのかな。

今風のお話、でも、どこか懐かしい…そういう読後感でした
東京にペンギンが現れるだなんて、昨今のアザラシなど群れからはぐれたり理由がわからなかったり
して、町なかにいるはずのない動物が出現する話に絡ませているように思いました。
小学生でも携帯電話を持ったり、インターネットをバリバリに使いこなしたりする…時代はすっかり
変わったなとつくづく思います。
架空の川とはいえ、住んだことのない東京の様子は想像するだけですが、ふと、自分の子ども時代の
情景が浮かんでは消え、消えては浮かぶような場面もあり、話題やツールは現代物でも、小学生の
発想は私の頃と似たものがあるように感じました。

ミクロは残念でしたが、子どもは親のもとを巣立っていくものだから、ゴンは彼の一生を悠々と泳いで
いくと思います。
パペンとマペンが再び幸せでありますように…。

小学生のとき読みたかったなぁ
小学5年生の夏休みの物語。
とくれば、大方の人は「定番は重松清」と考えるだろう。
確かに重松清の書くこども達も魅力的である。
でも、この「川の名前」の小学生もいい。
とくに、河童なんていいキャラだと思うなぁ。

こんな素敵な物語、小学生のときに読みたかった。
「すごく感動する」とかいう本ではないが、
永く永く心に残る一冊になるだろう。
読みながら、これおもしろいとか、感動したと思っていても、
読んですぐ忘れる本が結構あるんだけど、
この本を読んだこと、そして本の内容はたぶん死ぬまで覚えているだろう。
そういう本です。

私の本棚に興味を示すわが子が、早くこの本に気づいてくれることを願う。

この本、早川文庫に収められていることが不思議だったけど、
最後まで読んで、腑に落ちました。
ちなみに、私がミドルネームを入れるとしたなら
「大和川」になるなぁ。

川の名前 (ハヤカワ文庫JA)
川端 裕人
カネボウ
| 日記 | 14:58 | - | - |
いまいちしっくり来なかった
「山は半分殺(の)してちょうどいい」の意味するところは・・・
本書は、’04年上半期「第131回直木賞」を受賞した『邂逅の森』とほぼ併行して書かれ、3ヶ月ほど先行して発表された姉妹編である。
『邂逅の森』が、大正年間を中心とした東北の旅マタギ(クマ猟師)の青年、松橋富治の波乱の半生を描いた作品だったのに対して、本書は現代の東北地方における、彼の曾孫に当たる世代のマタギたちと自然との葛藤を描いている。

仙台のタウン誌の編集長をつとめる佐藤美佐子は秋田県で開催された「マタギの集い」に取材で参加して、「今の時代、どうしてクマを食べる必要性があるのでしょうか」と、素朴な発言をして参加者たちから冷たい視線を浴びる。そして閉会後、彼女はあるフリーの動物カメラマンから「山は半分殺(の)してちょうどいい」と告げられる。それは何を意味しているのだろう・・・。やがて恋人と破局してタウン誌を辞め、フリーのライターとなった美佐子は、この言葉を理解しようと本格的な取材を始める。

里におりてきたクマを捕獲し、発信機を取り付け再び山へ戻す活動をしているNPO法人、一方でそうして捕獲したクマを「有害駆除」の名目で射殺せざるを得ない役場の立場、「有害駆除」の許可が下りなければクマ狩りができないマタギたち、動物愛護・自然保護団体からの抗議。取材を重ね、答えを模索する美佐子は、やがて新潟県の山奥の集落でマタギの頭領をつとめる滝沢を訪ねる。

現代のマタギたちの生活を肌で取材するうち、美佐子の内に、彼らに対する親近感がわいてくる。クライマックスは彼女が実際に春のクマ狩り「巻き狩り」に同行し、マタギたちと共に猟場である過酷な自然に身を置く場面である。ひとり道に迷い、山中に取り残された美佐子が見たものは・・・。

タイトルの『相剋』とは、「両者が互いに勝とうとして相争うこと」(広辞苑)であるが、本書は、美佐子の目を通して、現代に生きるマタギたちの姿を描き、今、東北の森で実際に起こっていることを活写することにより、「自然との共生」などとは簡単に言い切ることのできない人間とクマ・森・自然との関わりを問いかけている。

読者が期待する事、いちばん読みたいと思う事から逃げないで。
 現代に生きるマタギたちを題材にした作品。

 「山は半分殺(の)してちょうど良い」
 「クマを食べなくても今の時代は生きてゆける。
  飽食の時代に、なぜクマを追い、クマを食うのか」

 ツカミは強烈だった。
しかし、けっきょく尻すぼみになってしまった。

 理由は、ツカミにたいして、物語の中でじゅうぶんに答えを示して
いないからだ。

 おそらく、答えは「山に暮らす人々が自然に対してどういう意識を
持って暮らしているか」を深く描くことによって、もたらされるような
気がする。が、ざんねんながら浅い。描ききれなかったようだ。

 読者が期待する事、いちばん読みたいと思う事から逃げないで、
正面から取り組んで欲しいと思った。

自然保護の在り方について考えさせられる小説
「邂逅の森」「ウエンカムイの爪」に続く物語のようです。邂逅の森は読んだことはないですが。

生と死、そして自然保護の在り方について考えさせられる小説だと思います。
物語の中で「共生と言う言葉が嫌いなんです。(中略)胡散臭さとまやかしを感じてしまう。(中略)はじめに『共死』ありきなんです。」と語っています。
うさんくさいとは思ったことはないですが、「共生」という言葉に対しては偉そうだなと思っており、そこに「共死」という発想を持ってくるところがおもしろい。

「邂逅の森」を読んでいないためか、いまいちしっくり来なかったのでもし読まれる方は順番に読んだ方がよいかもしれません。

相剋の森 (集英社文庫)
熊谷 達也

プラダスポーツ
| 読書 | 23:11 | - | - |